19日閉幕した主要8カ国首脳会議(G8サミット)は、議長のオバマ米大統領が再選を目指す11月の大統領選まで半年を切る中で開催された。米景気の回復加速を再選戦略の柱とするオバマ氏は「成長と雇用促進」を前面に打ち出した首脳宣言を主導。選挙戦をにらみ、劣勢とされる経済政策での成果を強調する狙いとみられる。
「今日、ここにいる全ての首脳は成長と雇用が最優先との認識で一致した」。オバマ氏は閉幕時の議長声明で、G8が緊縮財政一辺倒の路線を軌道修正したことを明言。7分の声明発表では、ほとんどを経済問題が占め、「雇用」を8回、「成長」を9回繰り返す一方、「財政再建」を指すことばは3回にとどまった。
大統領選を控えたオバマ氏にとって「最悪のシナリオ」は、ギリシャ政局混乱で再燃懸念が高まる欧州債務危機の拡大だ。ユーロ圏17カ国の主導で危機対応が構築されてきたが、欧米の企業や金融は密接に関連しており、「ギリシャ情勢次第では予測不能の事態に陥る」(コンリー元米国務次官補代理)との懸念が強い。
オバマ氏も声明で「パリやマドリードの企業のリストラは(米国の地域経済圏の)ピッツバーグやミルウォーキーの製造業に打撃となる」と述べた。
再選に向けてオバマ氏の最大の課題は雇用状況の改善だ。4月の失業率は8.1%と下降傾向にはあるが、なお高水準。過去、現職が再選した時の最高は、1984年のレーガン大統領の7.2%だった。オバマ氏は声明で「過去26カ月で400万人超の雇用を創出した」と強調したが、欧州危機が失業率を再び押し上げることになれば、再選に「黄信号」がともるのは確実で、危機波及の水際防止は最優先課題でもある。
「成長重視」をどうサミットで演出するか。オバマ氏が打った布石はサミット直前にセットしたオランド仏大統領との会談。オランド氏は緊縮路線見直しと成長重視を訴え、先の大統領選で勝利。「似たもの同士」(コンリー氏)の首脳会談では思惑通り、「財政再建と経済成長の両立」を確認、サミットの議論の流れを作った。オバマ氏は閉幕後、緊縮路線を主導してきたドイツのメルケル首相とも会談。ホワイトハウスによると、成長と財政再建の両立で意見の違いはなかったといい、オバマ政権の方針がG8全体に浸透したことを強調した。
しかし、歳出削減の徹底を迫る共和党候補指名が確実なロムニー前マサチューセッツ州知事との戦いを有利に運ぶ状況には至っていない。米ギャラップ社の調査では18日までの1週間の平均支持率はオバマ氏44%に対し、ロムニー氏は47%と差は逆に開いた。危機再燃懸念で混乱する国際金融市場への影響も限定的との見方が強い。
(この記事は海外総合(毎日新聞)から引用させて頂きました)

